第53話
『んっ……ここ、は』
目を覚ますと、薄汚れた天井がありました。
元は白かったであろう天井のシミが不気味。
「紺っ!」
『ゆきち?あれ……そうじしてて、うっ』
起き上がろうとして、頭が重くて吐き気が襲いかかってきた。
口を抑え、寝ていたベッドに逆戻り。
目だけ動かして辺りを見渡してみると、この部屋には諭吉しかいないみたいだ。
保健室みたいだけど……この部屋はまだ綺麗なんだなぁ。
「これ水。飲める?」
諭吉が水をくれたが、飲む気力もなければ飲んだら吐く。
掃除していて……そしたら頭がクラッとして倒れたんだ。
「覚えてる?倒れる前に何してたか。」
『うん。掃除、しないと……言い出しっぺ。』
「熱がある人は大人しくしててください。今、大吉と錦がやってくれてるよ。」
『そ、か……ごめん、こんなつもりじゃなかった。』
「いいよ、別に。引っ越してきたばっかで疲れ溜まってたのもあるだろ?慣れない生活と汚い学校。ストレス溜まるのも可笑しくないよ。」
『ありがとー。ここ異常に汚いけど、僕今まで病気したことなかったんだけどな……。』
私は病院、お薬、お医者様、病気と言う言葉とは無縁だった。
「二人が帰ってきたら病院連れていくから。父さんにも連絡して、帰りに車寄越してくれる。」
『はぁ……かたじけねぇ。』
「まだ寝てて良いよ。」
『うん……あーがとぉ……』
諭吉に頭を撫でられて目を閉じると、簡単に眠りについてしまった。
次に起きた時は日が暮れていて、吐き気は収まって頭と体のだるさだけになっていた。
「紺ちゃん、大丈夫?」
「無理すんなよ、ゴリラ。」
『おい、ゴリラ呼ぶな。』
「うん、大丈夫そうだな。」
どんな確認の仕方だ。
錦が今にも泣きそうな程眉を八の字にして私の手を握り、「よかった」と私の手に自分の額をつけた。
『三人ともありがとう。迷惑かけてすまんな。だいぶ良くなった。』
熱を測ったら37.5度で、大吉が言うには下がっているらしい。
倒れたのは絶対昨日寝れなかったせいだ。
なんとか起き上がって水を飲もうとして噎せる。
一気に口に入れすぎた。
「紺ちゃん、お転婆さんやな。」
私の背中を擦りながらケラケラと錦が笑う。
「他も終わったかな。」
「あ、そうだった。僕らが終わった時に近藤ちゃんと桃里とユウジと辰憲が来てな。紺ちゃんが終わったら見に行く言うてたやつで呼びに来たみたいやけど……今外におんねん。」
『あ、そうだ。僕行くよ。僕の“お願い”だからね。』
「本気か?そんなのまた明日とかでも」
『僕は勝って“お願い”を聞いてもらったけど、感謝は言いたい。僕が今日って決めて今日やった。僕が最後見るって言ったからわざわざ知らせに来てくれた。僕も僕の筋は通さないといけない。勿論裏門も厳しく行くぞー!!!うっ……』
自分の声が頭に響いて自滅した。
そんな私に錦が痛み止の錠剤を手渡す。
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