第43話

苦しい。暑い。だるい。



「紺、大丈夫?」



『うぅっ……』



「荷物持つよ。」



私は今、大吉と諭吉と学校に向かっている。

勿論宣言通りクイックルな棒を担ぎ、鞄を背負ってマスクをして。

ちなみに大吉は細長いボディの吸引力が変わらない掃除機で、諭吉は先端がもふもふしていて伸縮性のある埃とりに特化した棒。



あの後帰った私は、埃にやられて具合が悪くなり道でぶっ倒れた。

組の全員に猛反対されたが、私は金属感知の検査を受けて今日も元気に登校している。

マスクは暑いし、微熱と埃を吸いすぎたせいで息は苦しい。

寝れなかった。だから寝不足もある。



「休もうよ。」



「出席日数なんかバーコード脅せばいくらでも」



『自分で明日掃除するって言ったのに、行かないわけには……不良が来るかは分からないけどね。体だるいから、今日は絶対喧嘩しない。代わりに頼む~。』



「「おう!任せておけ!」」



のろのろと学校に向かう。

そんな私たちの後ろから足音がして、振り向くよりも先に体に衝撃が来た。



「おはようさん!」



「「錦おはよー。」」



『……はよ。』



「え!?紺ちゃん大丈夫!?鼻声酷いね。」



『大丈夫。それよりも、持ってきたかい?』



何故か男の私に抱き着いて、ギュウッと腕の力を強める錦。

鈍く動く頭で、これが噂のバックハグ?と首を傾げた。

私じゃない女の子なら、ドキドキと胸を高鳴らせるのだろうか。

私はドキドキなどしない。心臓は痛いけど……。



「僕のおうち、吸引力が変わらない掃除機のミニっこハンディしかのうてそれ持ってきた。それより……紺ちゃんあったかいけど熱あるんとちゃうん?」



『っ、だぁぁぁ!!あちぃ!!離しやがれっ!!』



耳元で囁くな!色っぽい声を出すなよ!吐息を漏らすな!



『お前はホモかぁぁぁあ!?!?』



「ホモじゃないで!鳥肌もんやからその発言やめや。僕は紺ちゃんのことが好きなだけや。」



「そ、それってさ。友達としてだろ?俺と諭吉は?」



「大吉も諭吉も好きやで。友達はみんな好きや。」



私から腕を離し、次は大吉と諭吉の肩を組んでこれまた妖艶な笑みを浮かべている。

こいつが言うと如何わしく聞こえるからタチが悪い。



「あ、紺ちゃん。昨日桃里からメール来たんやけど、骨折だったって。熱出たけど痛み止も解熱剤も飲んで良うなったから今日は来るらしいで。」



「アイツ、回復力はんぱねぇな。」



「入院もせんかったらしいで。パワフルやんな。まあ、紺ちゃんがあんだけ男気見してくれておいそれと休めんよな。」



『男気なんか見せた?まず、今日どれだけ来るかね?』



「全員来るだろうさ。紺、會田にキレただろ?桃里の心配しないからって。桃里は會田熱狂的な信者だけど、それでもあれ聞いて嬉しくないはずねぇもん。」



『でも僕、會田と喧嘩したぜ?反発してもおかしくないだろ。』



「會田がリーダーになってから、髑髏を抜ける奴が増えたらしい。髑髏の特攻は會田についてるってよりも、桃里についてる奴等がほとんどなんだ。會田に喧嘩売ったところで反発の材料にはならないよ。そんな奴等が桃里の為に會田に怒ってくれた紺のお願いを無視する奴はいないだろうさ。」



「今までは、鴉より我蛇髑髏の方が多かったらしいんやけど會田くんになってから鴉の方が人数増えたんやで。會田くん、冷血無慈悲で昨日のユウジくんみたく仲間にも容赦ないから怖がられとる。」

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