第50話

そう思ったオレは柳生君の肩を叩いて、悟るようにかっこよく言おうとする。





「オレは生徒会室の方がいいと思う。」



「何の話だ?」



が、しかし。



彼にはオレのかっこよさも、意図もつかんではもらえなかったらしい。




「うん………こっちの話。」



そう言って、オレは寂しくも誤魔化す。



彼もそれ以上は何も言ってくる気配はなかったので、オレはそのことは完璧にあきらめた。




ふう~と息を吐いて、気持ちを切り替える。



そして、オレがそうしている間にも柳生君が意を決したように口を開いた。





「これ……お前のだろ?」



彼がそう言ったので、オレはそれに目を向ける。



柳生君がズボンポケットから出した物とは───








私の、定期手帳だった。



“私”のだから、もちろんその手帳の性別欄には【女】になっているハズだ。



オレの額からは冷や汗が次から次へと流れ出てくるのを感じた



これはちょっと、いや……かなりヤバいかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る