第32話

そんなふうに思っているのが読めないのか、朱希と呼ばれる人はニコニコしながら、手に持っていた箱を私に差し出す。




「ほら!マアちゃんにケーキも買って来たんだよ!!」



そう言って、心底嬉しそうに話している彼を見て、目をぱちぱちさせてみる。



いや、あの……普通この状況でそれ出しますかね?



ましてや、初対面に近い意味の分からない転校生にケーキとか買います?



オレだって、その辺の常識はあるからそれがおかしいということは分かるよ。



ちょっと警戒した目で朱希という人を見てると、怪しまれているのとを理解したのか、安心させるような言葉を吐く。





「大丈夫だよ!毒なんて入ってないから、食べて!」



と余計にオレの前にずいっと突き出す。



「あの、別に……」



と断ろうとして、手を前に突き出すとそれが断りの合図なんだと分かったらしく、彼は手強いオレにこう言って来た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る