第30話
グルグル回っているのをただ見ているのはつまらない。
そう思い立って進行役の彼女たちの元へと向かった。
『やっほーお疲れ~!』
「お前、やっぱ人間じゃなかったな。」
「体力馬鹿。」
「圧巻だったぞ。」
『褒めてるのららたんだけじゃーん。』
長距離を終えた彼女たちは全員揃っていた。
「錦くん頑張ってー!」
グラウンドがよく見える位置から由良が錦に声援を送っていた。
健気だ……きっと素敵な彼女になるんだろうなぁ。
「めげないな!頑張れよ、由良!」
「うん!でもちょっと迷惑がられてるんだよね……。」
「押すしかないだろ!なあ八雲、由良みたいな可愛い子に好かれててアタックされまくったら悪い気しないだろ?」
何故私に話を振る。
『僕、恋愛事はよく分かんない。すまぬ。』
「……八雲的にどう思うかで答えろよ!由良を励ますの手伝え脳筋!」
桜が私の耳を引っ張り、由良から離れたところへ連行するとそう耳打ちした。
『励ましたところでどうするかは本人次第だ、あだだっ!ピアス引っ張るな!』
「痛いなら痛そうな顔しろよ鉄仮面。」
『何故言葉の最後に悪口?あんまりだ!それが人にものを頼む態度か!?』
「いいから!」
由良から好意を寄せられたら……由良は可愛らしくて小動物のような加護欲を掻き立てられる。
一途に錦を想う純粋で真っ直ぐなものは眩しいくらいだ。
でも何故だろう。胸の奥辺りがキリキリする。
……え、私がそっちに目覚めたのか!?
「ほら!由良をちゃんと見てみろ!」
桜に背中を押され、由良に急接近することになった。
ふわっと香る甘いかおり。
可愛い女の子……私とは縁遠い存在だ。
特に脈拍、血圧に変化はない。
つまり導き出される答えは、胸の痛みに由良は関係ないということ。
そうなると、では原因は何かということになる。
「や、ぐも……くん?」
僕は多分好意を持ってくれて、それを行動で示してくれるのは嬉しいと思う。
でもこれは僕の意見であって、錦がどう思うかは分からない。
だからこの質問は意味がない。
「やーぐーもーっっ!!てめぇ俺たちが走ってるのに!!自分は日陰で女子に囲まれて……羨ましすぎんぞこのゴリラ!!」
『たーちゃん、鏡見なよ。ゴリラは僕じゃなくてたーちゃんだ、っぶね!!』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます