第18話
「お前の弟か?」
『弟じゃない!戻ってろよ!』
「ヒッ……ご、めんなさっ」
俺が睨むと、大きな目からポロポロと涙を溢しながら謝る。
それでも戻ろうとしない。
「人に優しく出来ないのは心に余裕がないからだ。何をそんなに生き急いでんだ?ほらチビ、こっち来い。」
黒斗さんはチビに近付き、抱き上げるとベンチに戻ってきた。
なんて構図だ。
少し離れたところで、主婦の人たちがチラチラとこっちの様子を伺っている。
『警官に見えない。』
「手帳見せただろ。早く飲め。」
癪に触るが、もらったものは頂こう。
缶コーヒーを一口飲むと、苦味と変な甘ったるさに吐き出したくなった。
『まず……。』
「だろうな。俺も微糖は好きじゃない。今度はブラックにしようか。」
『来んなよ。』
また来るつもりかよ。
それにしても、と隣に座ってチビをあやす男を見て思う。
本当につく職間違えた感満載だなー、と。
『おっさん、警官に見えない。』
「見えなくても俺は警察官だ。顔で人を判断しちゃ痛い目見るぞ。世の中 、いい人そうな人の方が危なかったりする。」
『知ってるよ。俺の親父も優しそうな顔をしていたから、そうなんだろ。』
母親は派手で子育てとかできない人だった。
優しそうな男も借金をして、子供おいて蒸発するんだ。
人は見た目で判断できない。
優しいあの人も、俺のことなんか忘れているんだろう。
「……光、送っていく。」
『一人で帰れる。ガキ扱いすんな。』
「一人じゃ駄目だ。チビを置いていくだろ。」
黒斗さんは俺の背中を叩いて急かし、俺とチビは施設に戻った。
帰り際、「一人で外に出んなよ」と言って黒斗さんは去っていった。
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