第17話
あの男はずっと俺を追っていたんだ。
撒けてなんかいない。
悔しくて、唇を噛む。
男が一歩、また一歩と俺へと歩みを進めてくる。
捕まったら、殺されるかもしれない。
『っ!!』
「っ!」
ヘルメットを取って男の顔目掛けて投げ、エンジンをかけた────が、俺の回りにはたくさんの黒塗りの車。
『──兄さん、どうして黒にしたの?赤とか青とかたくさんあるじゃん!』
「夜に紛れるなら黒がいいからな。」
愛車を撫でながら、あの人が言っていたことが頭に浮かんだ。
気付かなかった。
夜に紛れた黒い無数の車。
ヘッドライトに照らされたその男は、黒いスーツに黒い髪、頬と高い鷲っ鼻にある傷が印象に残る端正な顔。
『アンタ、誰?俺殺される感じ?』
「は?……ああ、また勘違いされたか。俺は八雲黒斗、警察官だ。」
これが俺と黒斗さんとの出会いだった。
俺はこの後、警察署へ連れていかれ施設に戻された。
久しぶりに帰ったその日、施設には新入りの少年が入ってきた。
痩せっぽっちで小さくて女の子みたいな顔をしていたそいつ。
『着いてくるな。』
「っ……うっ……」
一人でいることが多いそいつは、何故か俺を見つけると後ろを追ってくる。
どこか放っておけなかったが、その時の俺は自分のことばかりで鬱陶しいと思っていた。
「よっ!眉間のシワは減ったか?」
『チッ……毎日来んなよおっさん。』
「ほれ、ジュース。」
缶を俺に投げると、男はベンチに腰を下ろして自分も缶のプルタブを開けて飲み始めた。
キャッチしたそれを見ると微動のコーヒー。
『ジュースじゃねぇよ。』
「砂糖が入ってる甘いものはジュースだろ。……もしかしてブラックか?悪い、俺のと返るか?」
ブラックなんか飲めるわけねーだろ!
しかも飲みかけかよ!
『おっさんの飲みかけとかゲロ。』
「素直じゃねーな。」
『なあ、俺のバイクは?返せよ。』
「お前が免許取ったらな。」
『は!?俺のだぞ!』
「預かっておく。免許取れたら俺に見せに来い。ん?チビがいるな。」
『え……っ!お前また!』
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