第6話
「そんなに心配かけてしまったとは。ごめんな?」
『んっ……ごめん。知ってる……の、父が、命張ってるの……!でも、撃たれたって……もう会えなくなるかもって……思ったら、怖くてっ』
「ああ、分かるよ。俺も紺が柳を継ぐって言った時凄く怖いと思った。俺も、紺も死と隣り合わせなんだよ。」
そうだ。
私が父を心配するように、父も私を心配してくれてる。
強くならないと。
大事なものを守れるように、大事な人に心配をさせないように。
『っ……それでも、守りたいものができたの。』
「うん。」
父は私を抱き締めると、おでこにチュッと口付けをした。
安心してら眠くなってきちゃった。
でも、獅子さんと錦置いて来ちゃった。
『んー』
「紺、ここまで誰と来た?」
『に、しき……』
私の記憶はここで途絶えた。
目を覚ました私は自分のベッドの上にいた。
夢だったんじゃないか、と思ったが洋服がそのままだった。
獅子さんが運んでくれたのかな。
あ、Tシャツ後ろと前逆だ……。
どんだけ動揺してんだよ、と苦笑いした。
良かった。父がいつも通りで良かった。
スマホを見ると、父からメッセージが来ていた。
「昨日はありがとう。犯人は逮捕した。俺は自分の始末は自分でする。首を突っ込むなよ。上に立つ者に身勝手は許されないぞ。」
要約すると、「復讐とか考えるなよ」だった。
犯人が逮捕されてるなら私に出る幕はない。
本当は許せない。
でも、法で裁かれるべきだ。
そういえば、私を刺した人間は誘拐事件の犯人グループの一人なのに裁かれなかったんだっけ。
あれ?今、時間……。
スマホの画面をもう一度付けると、時計は既にお昼を指している。
え、ええ!?だって今日平日ですよ!?
なんで双子は起こしてくれなかったんだ!!
急いで着替えようとしたが、机の上に見慣れない紙が置いてあるのが目に入る。
「本日は休学する旨、学校に伝えてあります。ゆっくり休んでください。」
達筆な字。双子と錦のものではない。
焦って体がぶわっと熱くなったが、今度は急激に下がっていった。
うん、とりあえず散らかった部屋を整頓しよう。
そう思い立って部屋の中を整えていると、ベッドサイドに置いてある宝箱の存在が目に入る。
『あ……鈴!』
たしか扉の所で落とした気がする。
失くしたら困るのに、落としてしまうとは……あの時はそれどころじゃなかったからな。
落とした場所を覚えていたから深く考えていなかった。
扉の前を探しても、キーホルダーは見当たらない。
部屋の中、部屋の前の廊下を見てもない!!
どうしよう……借り物なのに。
「あ、若!お目覚めですか?」
『し、獅子さん。昨日はごめんなさい。連れていってもらったのに置いていって、しかも部屋まで運んでくれてありがとうございます。』
「いいえ。黒斗さんがご無事で良かったです。」
獅子さんはスーツ姿で、今から仕事に行くのが伺える。
『あっ!獅子さん、鯉のキーホルダー見てない!?鈴のやつなんだけど!』
「ああ、それなら錦くんが拾っていましたよ。若に直接渡すと言っていました。」
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