第65話

「へへへ…。」



そう笑うと、カラスさんは何かを思い出すように儚そうに言った。







「お前…やっぱり、笑ってる方がいいよ。」



そんな事を言われたので、私は意外だとでも思うような顔で、カラスさんを見つめた。



どうして急にそんな事を…?



またジッと彼を見つめていると、彼も私をジッと見つめて…






「何を考えんのかは知らねぇが…時々悲しそうな顔して、右拳見つめてんだろ。


理由を知りたいなんて言わねぇさ。


ただ、お前は…真野はそんな顔よりも笑ってる方が似合ってる。」




カラスさんの見た事もないような、笑顔。



私はその笑顔に見とれた。



人のために笑っている顔。



カラスさんは私のために笑っている。



そんな笑顔を彼はしていた。

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