第60話

カウンターに座った時にここの店主らしき人が話しかけて来た。




「君が真野ちゃんかな?」



えっ!?何で私の名前っ!?



そう慌てつつ、私はその店主に目を向けた。



その店主はにっこりと微笑んだまま…




「君の事はヒロからよく聞いてるよ。」



「カラスさん…から?」



私がそう言うと、店主は首を傾げた。



「カラス?」



「ああ、ヒロさんの事です。勝手に私がそう呼んでるだけです。」



私が初めて会った時に、彼に抱いた第一印象。



それが孤独に苛まれたカラスのようだったから。



ただそれだけだったけれど、私はヒロさんをカラスさんと呼ぶようになった。





「なるほど…これは大物だ。」



「え?」



「いや、こっちの話。」



店主はそう言って、何かを隠すように笑って誤魔化した。

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