第77話
花火のアナウンスがして、穴場だと話す少年少女たちを見ながら花火が見えるだろうスポットに移動した。
『天樹……アイツはまだ起きない?』
「……アイツのことは今は考えなくていい。」
『皆教えてくれないんだよね。気にしない方が無理だってば。』
「アイツのこと、どう……思ってんの?」
『どうって……』
皆残酷すぎるくらいに優しくて、抗わなければそうなんだと思ってしまう錯覚が襲いかかってくる。
私がアイツをどう思っているか?なんて、初めて聞かれたし考えたことなかった。
私、アイツをどう思ってる?
私たちの関係ってなに?
『仕事仲間、以外ないでしょ。』
「……ふーん、」
『なに?どうし』
ドンッ!!と腹に響く爆発音に言葉はかき消され、驚きに光った方を見た。
────色鮮やかな大輪の花。
鼓膜を揺さぶる花火の音。眩しいくらいの光の瞬き。
それはあまりにも美しくて、まばたきも息もすることさえ忘れてそれは脳裏に焼き付いた。
『きれいだ。』
「ああ。」
花火の音が大きくて真横に立つ天樹の声も遠く微かに聞こえる程度。
まるで、ひとりぼっちの空間に閉じ込められたような錯覚に眩暈がした。
「紫苑、──」
『なに?』
「なんでもない。黙って見てろ。」
たった数分の花火は、数秒の感覚で終わった。
見れた喜びに花火は終わっても、胸の高鳴りは鎮まらずに血が身体中を駆け巡る。
『天樹、来てくれてありがとう。』
「なに泣いてんだよ。」
『え?』
天樹に言われて自分の頬に触れると、指が雫を掬う。
痛いことないのに、なんで私は泣いてるの。
「どうし」
「紫苑っ!!」
天樹が触れようと伸ばした手が弾かれ、私は思い切り後ろに引っ張られた。
『っ!みかど、あんり……』
肩に置かれたあったかくて大きな帝の手。
背中から伝わる鼓動の速さから、彼等が切羽詰まった状況を表していた。
杏璃が天樹の腕を拘束して、今にも泣きそうな顔で私を見る。
「紫苑。」
「アンタ、紫苑に何した。」
『ちょ、待って待って!!この人私の……と、友達!!友達だから!!』
あっぶね、危うく相棒って言っちゃいそうになった。
帝も杏璃も天樹を睨み付け、天樹はそれを煽るように鼻で笑い「友達以上だろ?」と私に聞いてくる。
まあ、友達以上だけどさ。命預けられる人だから。
『語弊を与える言い方しないの!杏璃、離してあげて。』
「お前はなんで外にいる?家で大人しくしてるって言ってたよな?」
「あーお前らが紫苑の弟くんたち?成る程な。」
「アンタは黙ってて。」
「指図すんな。離せ。」
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