兄貴
第76話
《仁side》
どうも、仁です。
ただいま屋上で談笑中。姫たちが。
実は結構前から起きてます。
たくさんの人の気配が屋上に来た辺りで目を覚ましたが、相手の様子を見るために寝たふりをしていた。
「いるかな~?」
「他は思い付かねぇよ!」
「あ~いたいた。」
扉の開く音と共にひかと緑川、赤西の声が聞こえる。
こいつらが来たってことは、灰原と黄崎もいるだろう。
ドタドタと此方に向かって走ってくる。
「二人とも寝てる?」
「姫可愛い~~」
「仁くんの寝顔だ~……わっ!」
「うおっ!」
……え?
突然のことで吃驚した。
音もなく近づいてきた誰かによって、姫に膝枕されていた俺は投げ出されてしまった。
声からして、ひかと赤西が受け止めてくれたようだ。……痛い。
苛立ちよりも眠気が勝った俺は、黙って脱力していた。
「ちょっと!いっくん!」
ああ、俺を投げたのは灰原なのか。
今度仕返ししてやる、と密かに誓った。
そのまま、ひかに膝枕されました。
姫や兄貴、龍ちゃん以外にされたのは初めてで、少しそわそわする。
うん、思いの他寝心地が良い。
そのまま夢うつつ状態でふわふわと気持ち良く過ごす。
その間、こいつらはどうでも良いような雑談をしていた。
主にひかと緑川が話しているのに赤西がちょこちょこ会話に入ったり、黄崎がツッコミを入れたり。
そのうち姫が起き、完全に起きるタイミングを逃してしまった俺は、黙って話を聞いていた。
ひかが頭を撫でてくれるのが気持ち良かったです。
灰原の言った“仲間”と言う言葉。
こいつらは姫を受け入れようとしている。
ただ、まだ過去のことを知らないこいつらを姫が完全に信用することはない。
いずれ話す時が来るだろう。
それを聞いて、こいつらが拒絶するなら俺は姫を連れ出すだろう。
でも、もしもこいつらが姫を受け入れてくれたら、俺は姫を渡すだろう。
こいつらの゛仲間〝の中に俺は要らないのだから。
その時俺は、姫から離れることが出来るだろうか。
不安しかない。
もしかしたら、陰から姫を見守り続けるだろう。
それでも、俺は俺を守ってくれた親友である姫の幸せを願う。
────そこに俺はいないとしても。
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