第27話



パーティーが終わり、今日は遅いからと姫が俺の部屋に泊まることになった。

俺の洋服ダンスの一つは、姫の洋服類や下着類が少し入っている。逆に姫の家にも俺の服や下着がおいてある。

よくお互いの家でお泊まりするからね。



後片付けを皆でして、悪友たちが帰っていく。

帰り際、虎くんが俺に小さな箱を渡してきた。

思わず頭にはてなが浮かぶ。



「おめでと。もらって。」



『……ありがと。開けていい?』



「うん。」



開けると、ブランドものの時計。

この前雑誌で見て良いな、と思ってたやつだった。

こんな良いものを貰ってもいいのかな。

でも、返すのも折角プレゼントしてくれている虎くんに失礼なことだ。



『……ありがと。大事にする。』



「ん。」



俺がお礼を言うと、微笑まれる。

そのまま虎くんは、俺の頭を一撫ですると帰っていった。



それから、部屋に戻って、先に風呂に入る。

いつも、俺、兄貴、姫の順番だ。

普通ならお客さんの姫が一番だが、姫は風呂が長い。

湯船に使ってぼーっとするのが好きらしい。

だから風呂が早い俺と兄貴が先に入っている。

今日もいつも通り、俺から入った。

風呂から出て、髪を拭いていると携帯が鳴る。



『……ん。』



「仁。」



電話の相手は、龍ちゃん。

こんな時間にどうしたんだろう。

さっき会ったのに……忘れ物したとか?



『……ん?』



「今外出られるか?」



『……ん。』



「出てきてくれ。」



それだけ聞いて、電話を切る。

よく分からないが、呼ばれたのだから行かないとな。

部屋を出ようとすると、姫が俺に視線を向ける。



「仁?」



『……外。』



「いってら~。」



何処に行くのか伝えると、手をヒラヒラと振られた。

下に降りて、店の裏口から外に出ると、壁に背を預けた龍ちゃんがいた。



「悪いな……って!お前髪乾かしてないのかよっ!春先はまだ寒いんだからそんな薄着だと風邪引くぞっ!」



俺の格好を見た龍ちゃんは、一時停止。

しかし、すぐに意識を取り戻すと、壁から背を離して俺へと近づいてくる。

そのまま、ポカッと頭を叩かれる。

手加減してくれていて、あまり痛くない。



そんなことよりも、なんで呼んだんだよ。

寒いから、パーカー持ってくれば良かった。

そう思っていたとき、ふわっと何か温かいものに包まれた。

龍ちゃんが着ていたジャンパーを俺の肩にかけてくれたからだ。



……こんなことしないでよ。



風邪とか気にしないし。

むしろ龍ちゃんが風邪引くと仕事に響くじゃん。



『……りがと。』



せっかく貸してくれたんだから、お礼は言わないとね。



「おうっ!」



『……。』



「……。」



おい!



『……何。』



「っ……ああ、そうだな!……ほら、これ!俺からの入学祝い。肌身離さず着けろよ?」



細長い箱を俺に渡す。



『……ありがと。』



……ん?肌身離さず?どういうこと?



「開けてみろ。」



言われた通り箱を開けてみると、中にはネックレスが入っていた。小さな小さな赤い石が光るシンプルでかわいいデザインのものだった。



……綺麗。



「貸せ。つけてやるよ。」



後ろを向いてネックレスをつけてもらう。



「仁の誕生月の石?らしい。かわいいだろ?よし、こっち向いて。」




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