第12話

《恭弥side》



仁が学校に行ってから、速攻で準備に取りかかる。

壁に飾るものはあらかじめ作っていたのか、もうすでに段ボールに敷き詰められていた。

ケーキを買ってくる奴等。

料理を作る奴等。

時間があまりないからみんなで慌ただしく準備を整えた。

もうすぐ帰ってくるからと、クラッカーを構える。



「きたきた!」


窓から様子をうかがっていた一人が声を上げ、すぐに店の扉が開いた。

パァンッパァンッ、とクラッカーの音が店内に響く。



仁は驚いて硬直していたが、姫ちゃんは驚きながらも笑ってくれた。

それからは皆が思い思いのことを言う。

ああ、仁と姫ちゃんが潰されそうだ。



「おい!」



皆を止めると、渋々離れた。

姫ちゃんがお礼を言ってくれたが、この子も家族同然で俺からしたら可愛い妹のような感じだ。



そして、俺の本物の可愛い可愛い妹の仁が、照れて頬を赤らめながらはにかむ。



『………りがと』



俺たち全員が悶えてしまった。

本人は憐れんだ目を向けているが、それすらも破壊力抜群だった。

色気出しすぎですよ、仁さん。

それにしても、喜んでくれて良かった。



皆が仁を見る中、ふと隣の龍を見る。

愛しそうに仁を見つめている。

こいつの気持ちも長いこと知っている。

そして虎も龍と同じく熱のこもった目で仁を見つめている。



はあ……複雑な心境だよ。

親友二人が自分の妹を愛してる。

応援するべきなんだろうが、シスコンと言われる俺が、素直に応援出来るわけもなく………。

未だに仁を見つめる二人の脚を踏んでおいた。



まだ仁は嫁に出さん!、という意味を込めて……。

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