第12話

最後まで、何もできなくてごめんね。



死ぬだけの兄で、見守ることしかできなかった情けない俺をどうか一生知らないでください。



……こんな兄なんかいなかった方がマシかもしれなかったね。






もう、誰も俺を思い出さないで。



大切な妹に、俺の存在なんて最初からいなかったとして扱ってくれてもいいから、紗綾にだけは何も言わないで。



どうか、君は俺を知らないまま幸せに生きてください。





―――…それはとても寂しいけど、それでもどうかお願いです。



この世から消えるだけの兄なんて、君にとって重荷にしかならないから。



君が優しい子だから、俺のために涙なんて流さないでほしい。

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