第20話
「――…奇遇だな、花子。」
偶然を装うとしているこの男に、私は嘲笑いたくなった。
何が奇遇よ。
絶対私がここに来ることを知って、ここにいるはずだ。
……彼が知らない訳はないもの。
「何か御用ですか?蘭勝さん。」
「用?分からねえわけねえよな?」
……怒っている蘭勝さん。
彼のその怒りがヒシヒシと伝わってきてしまうので、私は目線を下に向けた。
まあ、分からない訳ないわよね。
「――…砦のこと、ですか?」
「……泣かせたみてえじゃねえか、俺の弟。……どういう風の吹き回しだあ?なあ、紗綾。」
彼が私の“名前”を呼んだ。
それが本気で怒っているということを表すものになってしまう。
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