第10話

砦はそんな諏訪君を一睨みしてから、私を見た。



その目からは、既に敵意は感じない。






「―――…勝手にしろよ。」



砦はそれだけを屋上に残して、ここを出て行ってしまった。





私はそれに気が抜けてしまって、ストンと膝を折る。



「………ごめん、先輩。」



「―――…気張り過ぎだろ。」



諏訪君はその言葉に合わせてきたようにそう言って、私に煙草を投げてきた。



……これは、何?




「吸いませんよ、私。煙草、嫌いなんです。」



「ちげえよ、中身見ろ。」



「?」



諏訪君に言われた通りに私は煙草の箱の中身を見て、首を傾げる。



中身には煙草は一つもなく、紙切れだけ入っていた。

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