第92話

「あの人の死を無駄にしたくない…っ!」



もう、俺の心が届くことはない。



そう思うと、恐怖がどんどんと植えつけられる。





「彼にこれから助けられるはずだった人達を、俺はすべてをかけて助けてあげたいんだ!!」



“もう誰も、犠牲にしたくなんてないんだ!”



悲痛に歪むその声を聞きながら、俺は大稀との距離を感じた。



……もう、俺達は交わることはないんだ。



どこかで諦めた。



大稀と繋がっていた一本の糸が、プツンッと大きな音を立てて切れる。








「帰れよ。」



「景親?」



「帰れ!!お前の顔なんてもう見たくねえ!!」



「………そうか。」



そう呟いた大稀の顔が、何故か忘れられない。



……俺がさせた顔なのに、俺はそんな大稀に罪悪感を抱いてしまう。

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