第12話

残されたこの場で、一番権限のなさそうな協が最初に口を開いた。




「ということで、申し訳ないですけど、俺を乗せて帰ってくださいよ、蘭サン。」



“てか、アナタに運転とかさせられないんで、俺が運転させてもらいますけど”



と付け加えた彼を睨む砦。



蘭勝はそれに同意したのか、何も言わず溜息だけ吐く。



彼の行動を見届けた協は一度だけ口元を揺るめて、蘭勝に告げた。



「じゃあ、早くここを出ましょう。俺、急いでるんです。」



「あ?」



協は蘭勝のいつもの口癖が出なかったので、少しだけ目を見開く。



分からない程度に。



―――…いつもなら『あん?』なのに、『あ?』、か。



これはちょっと、やばいかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る