第12話
「……おい、紗綾。」
「え?」
バッグのチャックを閉めた時、いきなり彼が私の“名前”を呼んだので驚いて跳ね上がるように彼を見つめる。
……真剣な彼の瞳を見て、緊張が走った。
「砦じゃなくて悪かったな。」
「……どういう意味、ですか?」
「いや、砦に助けられたかったと思ってんじゃねえかと思ってな。」
彼のその言い方が少しだけ、自分を嘲笑っているような気がして少し眉を顰めてしまう。
私はランカさんの目を真っ直ぐと見つめて、口を開ける。
「お言葉ですが。」
「あん?」
「そんなこと思ってません。」
―――…そういう言い方は、嫌だ。
助けてもらったのに、本当は違う人が良かったなんて私が思える立場じゃないもの。
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