第112話

振り返った彼に私は何を言おうかと迷っていたのだが、とりあえず顔を引き攣ったまま口を開いた。



「えっと……、その、四谷さんも反省してるみたいだし、そこらへんにしてあげたらどうかな。」



別に今までのことを許すというわけではないけど、今の状況を見て同情してしまったのだから、仕方ない。



彼は【鳳凰連合】のトップなのだから、威厳というのを失ったらさらに可哀想だし。




「……紗綾。」



那留兄さんは私を見つめながら名前を呼んでくれたけど、すぐに笑顔になった。



嫌な予感がしなくもない。




「大丈夫だよ、紗綾。俺は協に暴力を振おうとしているわけではないから。」



「………。」



―――…そういう問題じゃないと思う。

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