第16話

不意に 

ドアの鍵を外す音が聞こえ 

身体がビクリとした 


どちらの部屋から住人が出てくるかもしれない  


私は両方確認できる角へ移動し 

緊張に身体を硬くしながら待ち受けた 

携帯が手の汗で湿って気持ち悪い

アプリは開かず何の反応も示さない  

 

数分経過したが誰も出てこなかった  

だが人がいるのは間違いない 

さっきは居留守だったという訳だ


そしてこれからも留守を装うのは明白 

あれだけ、しつこくチャイムを鳴らして出てこないのだ 

夕飯の匂いを漂わせたとしても 

居留守を決め込むはず 

住人に助けを求めても当てになら無いという事になる


私は悪態をつき 

憂さ晴らしにアプリボタンを連打した 


と 

鍵の開閉音も同時に鳴り続けた

 

もしやと思い 

確認の為 

押すタイミングを変えてみると 

案の定 

ドアの鍵も同調していた 


インストールされていたのは 

Bluetooth通信を利用した 

鍵アプリだったのだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る