第17話

エレベーター側の 

広告の突っ込まれた部屋のドアノブに手を回すと 

簡単に中に入る事が出来た 

 

靴置き場から眺めると 

どうやら1DKで

白色光蛍光灯がついた奥の室内は 

殺風景で家具が見当たらず 

生活感がまるで無かった

 

泥ひとつ無い靴置き場に靴は無く  

人の気配も感じられない 

私は靴を脱ぎフローリングを進んだ 

すぐ右にはトイレドアと浴室 

右は水道流しとガス置き場 

冷蔵庫もテーブルも食器棚も無いので 

とてもキッチンスペースは広い 


奥の部屋は茶褐色のカーテンで仕切られていた 

左壁に設置された安い長テーブルには 

ノートパソコンが3台置いてあり 

右端以外は開かれ起動していた 


私はキャスター付きデスクチェアに手をかけたまま 

パソコン画面に顔を近づけた 

 

中央のPC画面には 

このフロアの地図が表示されてあり 

隣には監視カメラの映像が4画面 

内廊下の角と非常階段前 

1階受付 

それと私が映るこの部屋だった 

振り返って天井を見上げると 

カメラがデスクに向いている 

 

自分で自分を見る理由が 

よく分からない 

そもそも

会場調査など最初から 

デタラメだったのだ

私は何かの実験の罠にハマったのだ 

 

それとも 

これが調査なのかもしれない 

私の行動をカメラで記録して 

心理実験でも 

やっているのか 


だとしたら 

人為的な鑑賞があるのだから 

逆に心が楽になる  

きっと空間ループにも仕掛けがあるのだ 


私は窓へ歩み寄りカーテンを開いた 

 

外は

どす黒い闇が広がっていた

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