第12話
拾おうとしたが焦って上手く紙を掴めない
思考は回らず
屈んだ上体を無意味に起こしては
その場を歩き回ったり
壁に額を当て
夢である事を懸命に願っていた
とにかく
この非現実な状況から一刻も早く脱出したい
くしゃくしゃに髪をかきながら
呆然と床の広告を眺めていると
今日の日付に目が止まった
広告チラシは
今日
配達バイトによってポストに入れられたもの
では
配達員はどうやってマンションから
出られたのだろうか?
もし
脱出出来なくて
私みたいに彷徨っていたなら
どこかで出くわしているはず
その人物がいないという事は
他に出口が必ず存在するという証拠
それは何処か?
私は駆け出し
非常階段前の摺りガラス窓へ向かった
何て事はない
窓から外へ出ればいい
斜め途中までしか開かない横滑り出し窓だが
大人でも強引に潜れば
通り抜けるられる幅だった
私は窓枠に手をかけ
ジャンプした勢いで
窓から身を乗り出し
まずは暗い外の様子を調べた
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