第90話

マロミさんは頼りになるし、何でも相談できる人だから。

 わたしにはいつでも、マロミさんが味方をしてくれる。心強いの、本当に。


「わたし、部屋で少し休むわね」


「かしこまりました。 では夕食の時間になりましたら、お呼び致しますので」


「お願いね」


 わたしは部屋へと戻り、ベッドへと寝転ぶ。


「……カルナさんか、アレンさんか、ルイトさん」


 わたしがあの三人の中から、婚約者を選ぶことはできるのだろうか……。


 カルナさんは今日、わたしにこう言ってくれた。

 【カルティナ姫が幸せなら、僕たちはそれでいいのです。……あなたはこの国の、最高の姫様なのですから】と。


「分からないわ……」


 わたしは誰とでも幸せになれるよう気もするし、そうじゃないような気もする。

 

「お父様……わたしは、どうしたらいいのかしら」


 だけど三人と一緒にいると、わたしは全員にドキドキする。 カッコいいとも思うし、優しいなとも思う。

 それが当たり前なのかなんて、分からない。でも、本当にそうなのだ。


 みんなそれぞれに魅力があって、それぞれにいい所があるのだ。

 お父様やお兄様とも違う、優しさが。

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