第零章 プロローグ

第1話

「カルティナ」


「……お父様」


 令和四年、カルティナが暮らすレイリア王国では、近年姫様と王子たちの結婚話が跡を絶たなかった。

 レイリア王国の最上級の姫であるカルティナは、その様子を聞いてなんだかイヤな予感しかしなかった。



「カルティナ、お前ももう大人だ。……分かっているだろ?」


 わたしにそう伝えるのは、わたしの父親でもある【レイジ】だ。


「……お父様、わたしは」


「これはレイリア王国のルールだ。 分かるっているな?」


 レイリア王国では、二十歳を過ぎたら王国にいる王子と結婚し、子供を授かるのが昔からのルールになっている。

 子孫を残し、レイリア王国を守るために騎士(ナイト)として育てることが、レイリア王国での昔からの風習となっている。


「……お父様」


「お前の結婚相手はわたしが探してやる。必ず結婚してもらうぞ」


「え、お父様……!」


 そして二十一になったばかりのわたしも、ついにその一人になった。

 父が連れてきた相手と結婚し、子供を産むことが、わたしにとっての幸せだと父は言う。


 だけど本当にそれでいいのかどうか、わたしにも分からない。

 本当にこのままでいいのかーーー。

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