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第68話
「知ってる」
「なんで、キスするの？」
「なんとなく。お前は、欠落してるからな？そういうのも分からねぇから。楽しい」
「私で、遊んでる？」
「半分。ちゃんと教えてやるよ。キスの仕方」
「いい」
「遠慮すんなよ」
してない。
「なぁ？お前、裏にいたろ？」
………………。
「そうよ」
「だと思った」
「もう、離してよ」
「無理」
近付くのは危ないことくらい分かってる。
でも、この男が。
柚月と同じこと言うから。
目も………
離れないといけないのに。
パーカー男が、私を逃がさない。
この感じは………
「檜佐木亜紀」
ひさぎあき？
「何？あと、近い」
「近い」
だから、何？
「は～ぁ。俺の名前だ。知らねぇ奴が多い俺の名前。お前に教えてんだ。ほらっ、呼んでみろ」
「檜佐木亜紀？それが、あなたの名前？」
「あぁ」
亜紀？
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