第67話

「本当に、あなたは危険じゃない?」



「あぁ」



パーカー男の目を、じっと見る。


その目は嘘を付いているようには見えなかった。



「私に何を求める?」



「何を求める、だぁ?そうだなぁ。お前が求めているものだ」



「……………ねぇ?」



「あっ?」



「………近い」



本当に近い。


また、キスでもするの?



「なぁ?お前さ?感じてる表情はできんだな?」



「はっ?」



「キスしてる時。微かに歪んだ」



…………。


嫌なんだけど。



「もっと、歪んだ顔見てぇな」



「最低」



「ハッ!うるせーよ」



そう言ったパーカー男は、またキスをしてきた。


キス魔なの?


そうだ。


嫌がらないと。


パーカー男を押しても、びくともしない。


あなたは、岩なの?


なんで、びくともしないの?


少しは、動くでしょう?



「キス、あれが初めてか?」



「ハァ…ハァ………………初めて」

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