第31話

「椎名さんって、小学生から裏の仕事してたんだね?それだと、躾も完璧になるね?男3人に、追われているなんてモテるね」



「ふざけてる?」



「半分ふざけてる。残りの半分は椎名さんのことを少しだけ知れたなって思ってる。ねぇ?椎名さん」



「何?」



「………俺は、椎名さんを見てる」



何?


何を言うの?



「その男達は、椎名さんをちゃんと見ていない。消えたってことは、そうでしょ?」



「………………………」



「俺は、椎名さんをちゃんと見たい」



………………………。



「今はそれだけ言っておくよ。それ以上は今の君に言っても意味がないからね。おやすみ」



柚月はそれだけ言うと用具室から出て行った。


何言っているのよ。


何が私を見たいよ。


柚月は今回のこの話の内容で何を感じとったのだろうか。


話をする前と話をした後の雰囲気が少しだけ違ったような気もする。


いや、それよりも。


部屋に戻るか。


ここで考えるよりも部屋に戻るのが先だ。


用具室から出て部屋に戻るとベッドには口を開けて爆睡している白井がいた。


あと少しでベッドから落ちそうだ。


あれは足から落ちるね。


お風呂に入ってからベッドに横になるけど寝れる感じがない。


さっきの話もあるからだと思うけど。


どうしようと考えていると音楽が聞こえた。



「私の?」



どうやら私の携帯が鳴っているみたいだ。


携帯を開くと着信はお父さん。




「はい?」



『どう?寝れる?』

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