第29話

柚月はきっと気づいている。


この話をしてくるってことはそうだろう。


その探し人が私だってことに。



「聞いてもいい?その男達の特徴は?」



「確か、大人と多分高校生くらいの奴等。高校生2人は、鋭い目付きの奴と女の子みたいな奴。女の子みたいな奴が異常に聞いてくるみたいで……………………」



なんで…………………


なんでなの?


なんで探すの?


まだ、あの人達の人形なの?


この不安な感じ。


とても嫌だ。



「椎名さん?大丈夫?おーい。聞いてる?」



「……………まだ、解放されていない」



なぜだ。



「えっ?」



「まだ、人形なんだ」



なぜ、追いかける。


もう、いいでしょう?



「何言ってるの。誰が人形なの?」

「えっ?」



あっ。


そうだ。


この人いたんだ。



「分かってないね。まぁ、しょうがないかな。君はちゃんと自分で行動してるよ」



私の両頬に手を添えた。


固定されたことで柚月をじっと見ることになった。


こんなにじっと見つめることなかったから改めて思うけど、本当に綺麗な顔をしている人だ。


傷もないし。



「初めて会った時の椎名さんは人形だったかもね。でも、今の椎名さんは違うよ。雰囲気が柔らかくなった。東賀さん達が側にいるからかな?」



そんなこと柚月が言うなんて。

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