第56話

マスターの表情は、ふざけてる感じはなく真剣だった。


あぁ。


もう、始まってる。


全てが動き出してる。


私は、マスターによって導かれようとしているのだ。


そして、マスターの目を見てゆっくりと口を開いた。





「うん。なるよ」





マスターは、ニコッと笑った。


さっきと違って、雰囲気は柔らかくなった。



「ありがとう。凛ちゃん。早速だけど、今日から俺の家に来てね?あの家に帰る必要はないよ。急いだほうがいいかも」



急いだほうがいい?



「ないの?しかも、今?」



「うん。問題ないでしょ?凛ちゃんは、裏で死んだことにしてあげる」



「できるの?」



「できるよ。俺だからできるんだ。大丈夫。学校も転校だし。仲間が、ちゃんと動いてくれてるから」



「仲間?博さん達とか?」



「うん。みんな、凛ちゃんのこと守ってくれてるから。大丈夫だよ。もう、凛ちゃんは何かを守ることしなくていいよ。今度は、俺らが守るから」



「守る?私を?」



「そう」

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