学年で6番目にかわいい女子が幼馴染や学園のマドンナにも引けを取らない物語
アサガキタ
第1話
「やあ! 初めましてかな? 私の名は
知っている。風紀委員長ということもあり、何度か登校時立ち番で見かけたことがある。
すっとした立姿で、胸が大きめ。決して痩せてるというわけじゃないが、健康的な体型。個人的な趣向だが――この重力の法則に逆らうような先輩の胸は眼福だ。
藤江風紀委員長が立ち番をする朝を、心待ちにする男子生徒は数知れず。日によって変わる栗色の髪の編み込みを話題にする男子生徒も多い。
二年生で不動の人気を持つ先輩というのが俺のイメージ。
声を掛けられたのは昼休み終盤の学食。生徒の波が引くのを待って学食に来た。なにせ俺はその界隈で人気を博していた。その
入学早々幼馴染で彼女を寝取られたのは俺のことだ。なに、1年生きっての寝取られボーイなんて不名誉なふたつ名付いてんの?
知らなかった……もう帰りたい。
さっきまでの威勢はどこへやらとばかりに、藤江先輩が折り畳み式の長机に突っ伏している。
しかも手の上に突っ伏すのではなく、ダイレクトおでこだ。
「痛くないんですか?」
なんか……イメージと違う。
「痛いよ! 見てわからないか! おでこも心も痛い!」
なんでキレてんだこの人。
「藤江委員長のその哀れな姿も大概痛いですよ? あっ、ごめんなさい。私は
「那奈‼ わ、私は別に安定してる! それに言わなければバレない!」
「はいはい、委員長はダメな方に安定してますって」
バレないって言ってる時点で、ある程度の自覚あるんだ。
情緒不安定なことに。
ダメな方に安定してんだ、なんかホントにイメージと違う。
「林崎君、ごめんね。ココア入れる間、委員長のこと見てて、ただ見てるだけでいいから」
見てないとダメな人なの?
そんなことを困り顔で伝えられても……前髪が少し短めで、きれいなおでこの汗を軽くふく中八木さん。
色白で黒髪を後ろで束ねている。見るからに真面目そうな感じだ。
その、堅苦しいとかじゃなくていい意味で。くりくりっとして黒目勝ちな目元がかわいい。隠れた人気者なんじゃないかな。
たぶん学年で六番目くらいにかわいい。
対する藤澤先輩――さっき学食での王女さま的登場。ミス生徒会長みたいなオーラ。
きれいに手入れされた長い髪を
今は――
「どうせ私なんて……私なんて……私なんて……」
中八木さん。
藤江委員長、なんか
「委員長。やめてください、一般生徒の前で。ただでさえぺらっぺらの薄っすいメッキなんですから、委員長の
中八木さん、わりと
入学早々幼馴染で彼女の
しかし、ここもここで居ずらい!
こんな
断っておく。
わかると思うが俺が女子慣れしてるとかない。だけど――もう、ここはそんなこと言ってられない。中八木さんは1年生なので見たことはあるし、名前もなんとなく聞いたことがある。
この状況。彼女に助けを求めるしかない。陰キャにはなかなかのハード・ミッション。
『助けてください‼』
そんな視線を送るが返ってきた返事が『ごめんね』だった。そして親指と人差指をちょっと広げて『あとちょっと、付き合って』みたいな仕草。
表情から困り果てているみたい。
なんかその仕草が俺の属性に
「委員長。ほら、林崎君せっかく来てくれたんですよ、お昼休みもうあと少しですし、また放課後来てもらうの悪いでしょ?」
なんだって? 放課後また来ないとなの? 校内に一秒たりともいたくない、寝取られボーイなのに?
「しょうがないなぁ……」
なにが?
何がどう「しょうがないなぁ」でしょうか、風紀委員長。まるで俺が頼んだみたいになってない?
「ここだけの話――」
「わりと有名な話ですけどね」
中八木さんは漫才の相方のように補足説明をするように話の腰を折る。
「かくいう私もそうなんだ」
何が?
「えっと、林崎君。ごめんなさい。事ここに至っても
叱られるんだ。風紀委員長。中八木さんに。
「な、なにも! 何もかも
思わない。
思う判断材料があまりにも不足している。あと推し活関係ない。
「
「そう?」
「はい。林崎君と同じ時期に寝取られたんです。幼馴染の彼氏を。状況が似てませんか? 委員長と林崎君。それで、私委員長に勧めたんです『同類
サラッと凄い振りが来た。
「ほら、林崎。昔から言うだろ?『傷舐め合うも
言わない。
少なくとも俺の周りの寝取られ
「それで、俺にどうしろと?」
「
「具体例としては?」
「よしよしするとか?」
俺は残念ながら真顔で中八木さんを見た。なんでこんなダメっ娘、よしよししないとなんだ。
いや、いま傷を舐め合うって言ったけど、一方的にですよね? 中八木さんは委員長の背後で全力『メンゴ!』をしてる。
うん、彼女は悪くない。この仕草もなぜか属性に刺さる。そう、彼女はつい口が滑っただけ。ただ『同類相憐れむ』って。
待てよ、これバカにしてないか? そして昼休みの残が少ないことを気にしたのか、中八木さんが巻きに入る。
「ほら、ふたりとも! 幼馴染で、古ーい付き合いの彼氏彼女を偶然にもこの春寝取られたばかりじゃないですか、いわば――同士? 戦友? なのでこう……心の
無茶振りが過ぎる。
このおでこを真赤にして、目の淵に涙浮かべた残念女子のお話相手に君はなれと?
断る!
風紀委員長、鼻まで垂らして――
「頼れるのは林崎だけなんだよぉ〜〜」
そんな泣かれても……
***
「こういう時はファミレスがいいと
中八木さん。
なんてことを言ってくれたんだ。俺のプライベートタイムは?
ってか、学食で見た女王さまな空気で放課後廊下で出待ちされても……しかも、ヒソヒソ声で『寝取られクイーン先輩』って言われてますけど?
俺たちを見て『寝取られコラボ』とか言われてるけど?
あまりにも痛々しいので、見かねた俺が近寄ると、ファミレスに行くことになっていた。どうでもいい。一刻も早くこの場を去りたかった。
「これはそのファミレスの割引クーポンだ。那奈がくれた。ああ見えて気が利く」
中八木さん。
割引クーポンで俺に先輩押し付けたんじゃないだろうな? 俺は財布の中を確認して断ろうとしたが、幸か不幸か、きのうお小遣いをもらったばっか。
両親が働いて、せっかくくれたお金をこんなことに使うなんて……親不孝だ。
***
「いらっしゃいませぇ~~カフェ・レストラン『シルバルナ』にようこそぉ~~ご案内いたしますねぇ~~」
鼻にかかるような、
俺たちは、店員さんに案内されるまま窓際の席についた。
「先輩。シェアって言葉ご存知ですか?」
注文を終え、料理が運ばれてきていた。
「ん? 市場のシェア率のことか?」
「いえ、いいです」
ミックスピザを注文した。
もちろん俺がだ。
これなら少しずつ
おい、中八木。お前責任者だろ、出てこい。知ってるか? 食い物の恨みは怖いんだぞ?
文句を言っても仕方ない、なんか注文しよう。なんでハンバーグステーキセット注文した先輩が俺のピザまで食べるんだ?
まさか寝取られたから、食い物を俺から寝取ったとかないだろうな? 考え過ぎか?
ふと目の前の藤江先輩を見ると、
特に他意もなく、叩いてるつもりだろうが、先輩の豊満な胸はプルンと弾んだ。そう重力の法則に逆らうように。今のでピザ分は回収できた気がする。
そして先輩は慌ただしく手で俺を呼ぶ。今度はなんだ?
□□□作者より□□□
☆評価お願いします!
☆評価はウェブ小説を書いていく唯一の燃料になります!
☆評価方法はこのままスクロールして【☆で称える】を+ボタン3回プッシュと超簡単!
ブックマーク、毎話ごとの応援、大変励みになります!
よろしくお願いします!
***作者よりお願い***
レビューが不足してます。
『楽しみ』みたいな簡単なレビューして頂ければありがたいです。
レビュー方法は【☆で称える】の後【レビューを書く】をプッシュと超簡単です。
お手数をお掛けしますが、ご協力よろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます