第65話
「アメリアが去ったら行動開始よ。あの子、逃げるの得意だから逃げられないようにしないとね」
「大丈夫だ。俺がいるからな。武術ができるメアリでも俺には敵わないだろ」
「いっそのことアメリアを殺しちゃおうかしら。それなら早く手に入るでしょ?」
「それはやめろ。面倒なことが起きるから。メアリが手に入る前にこっちが殺される。アレの相手は無理だ。アレは化け物だぞ」
「冗談よ。あの子のこと殺すつもりはないわ。気に入ってるもの。一番はメアリだけど」
イリネは天蓋付きのベッドに座る。
その隣にスクも座った。
「私の可愛いお嫁さん。たくさん愛してあげるわ。それで、たくさん子供も産んでもらいましょう。きっと可愛い子供よ」
「おい。イリネだけの嫁じゃねぇぞ。俺の嫁でもある。いいか?最初は俺に譲れ。賭けは俺が勝ったんだからな」
「分かってるわよ。でも1週間も籠もらないでよね。私、発狂しちゃうわよ」
「最後は2人で可愛がるつもりだから発狂しちまうのは嫌だな。5日で我慢する」
「たったの2日じゃないの!」
「4日」
「2日にして。私が落としたいのよ」
「俺がやる。イリネは無理だ。また蹴られるぞ。ドロドロにしてから抱いたほうがいいぞ」
イリネはメアリに完全に嫌われている。
スクは嫌われてはいないが興味は持たれていない。
つまり、メアリはこの2人のことなど全く好きではないということだ。
そんな状況で愛の告白をしても簡単に断られる。
なら、簡単に断られない状況を作ればいいだけだ。
2人はメアリを囲い込むことにした。
その時期はアメリアが出国する時期と同じ。
「意識は飛ばさないでよ。私が抱いていること分からないじゃない」
イリネはスクの腰に抱きついた。
スクはそんなイリネを抱きしめる。
そしてそのままベッドの上に押し倒した。
「さっき、途中で終わっちゃったから抱いて」
「いいところで邪魔が入ったからな」
「ーン」
スクはイリネの首元に顔を寄せてキスをする。
次第に息が荒々しくなり2人共服を脱ぐ。
どちらも快楽の渦の引き込まれていく。
ドロドロとした目と目が重なり熱いものへと変わる。
綺麗に整えられていたベッドシーツは乱れギシギシと軋む音がする。
もう2人は情事に夢中だった。
男同士でも愛し合える。
この国ではよくあることだろう。
だが、この2人は少々複雑だ。
どちらも女を愛せるのだ。
しかも、どちらも手に入れたい。
メアリは見事にそれに当て嵌まってしまった。
しかも、イリネだけでなくスクもメアリを求めている。
2人は女の好みが全く同じだったのだ。
だから2人で共有することになった。
そこに争いなどは起きなかった。
どちらも手に入るのだ。
どっちかなくなる争いなど起きるはずもない。
どんなことをしてでも手に入れたい。
手に入れば今まで以上に満たされるだろう。
早くメアリをグチャグチャのドロドロにして甘やかせたい。
こんな考えをしていることから2人は正常な考えなど持ち合わせていないだろう。
だから、普通に口説くという発想がないのかもしれない。
普通に口説いていたのなら今頃もしかしたら恋人という関係になっていたかもしれない。
まぁ、この2人では無理だろう。
ー イリネ宅 end ー
次の日。
騎士が屋敷に来た。
しかも3人も。
鍛え抜かれた身体が3人もあれば暑苦しいだけだ。
朝早くに見るものではないな。
「申し訳ないけど、帰って下さいな。もう何もありませんよ」
私の言葉に騎士同士は顔を見合わせる。
そして、3人の中で一番位が高い騎士が前に出て来た。
「これは殿下の御命令です」
「は〜ぁ。だから何もすることないですわ。今日も明日もその次も私はここにいますので。殿下にもそうお伝え下さいな。すでに行動はしましたので」
「行動?」
「もう連絡待ちですの。だから、あなた達は必要ないですわ。王宮にお帰り下さい。ただ、立ってるだけになりますわ」
私の話にポカンとした表情をする騎士。
手紙が来たらすぐに呼んであげよう。
面倒なことなど長くそのままにしたくない。
私は、話が終わったとばかりに立ち上がり応接室から出た。
そんな私を見て慌てて後ろをついてくる騎士達。
いつも通りに庭に出てベンチに座り本を読む。
メアリはすぐ隣に控えており騎士達を見張っていた。
メアリは機嫌が悪い。
昨日の件がまだ続いているのだ。
騎士には悪いがサンドバック的なことになってもらおう。
バシバシと感じる鋭い視線をずっと感じてもらおう。
ちょっと面白くていい気分だ。
騎士はとても居づらいのか少し目線が上だ。
メアリの視線を避けているのだろう。
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