【特別な本】

表紙には何も書かれてなく作者の名前もない本。

【この世にたった一冊しか存在しない本には特別な力が宿っている】

【その本を手に入れた者はこの世の全てを知りこの世の覇者となる】

権力者たちは人を雇い本を探す依頼をする。

雇われた者は報酬を手に入れるために危険を冒す。

嘘の手がかりで命を落とす者や疲れ果て諦める者もいる。

嘘の手がかりで国と国が争いたくさんの国民の命が散る。

ある者は言った。

【特別な本など存在しない。この国を罠に嵌めようとしているのだ】

本当に存在するのか不安が募り次第に本の争いは消えていった。

今は子供に聞かせる物語。

【この世にはたった一冊しか存在しない本がある。魔法の言葉が書かれている本でその本を手に入れた者は幸せなことが起きる】

主人公は女の子。

病気の母親を治すために本を探す物語。

幼い子供が楽しめる物語。

子供は知らない。

その本の真実を。

子供は知らない。

その本を手に入れるためにたくさんの命が散ったことを。

今日もどこかで物語が伝えられている。

真実とは違った幸せな物語。

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