III

第14話

私は馬鹿じゃない。

大毅みたいにならないように、勉強はちゃんとしてきた。それなりに礼儀も、遠慮することも分かっている。


だからなのか、気がついて私自身が捕まってしまったと思うよりも、1番先に心配したのは佳加の事だった。

私を迎えに来るはずだった佳加……。



佳加の事だ、今頃きっと心配してる。もしかしたら警察に行っているかもしれない。



今から私はどうしようか。

そう思って古いソファに寝転んでいたらしい私は、起き上がり足の裏を床につけた。




そして、目の前にいる男と目が合う。



「ここはどこ?」



そう聞けば、ヘラりと笑った。




「もっと驚くとか、ビックリするかと思ってた。肝座ってんね」



黒いパーカーに、金髪で──私と同じぐらいの男は面白そうに口を開いた。この男は多分、私を拉致した男。




結構電気が明るめの広いガレージのような場所。でも車はない。むしろソファや机、テレビもあるから普通の部屋に使っているような……。


シャッターつきのここはもしかしたらガレージよりも工場の方が言い方は近いのかもしれず。



「慣れてるから、こういうの。拉致られたのは三回目かな」


「ああ、二度あることは三度あるってな?」


「そうだね…」



手錠も何もされてない。自由に動けてしまう。しかもこの部屋の中は目の前の男一人。出入口はシャッターだけ……。鍵がかかっているから、こんなにも余裕なのかな。



「って言っても汗すごいよ?強がりおねーさん」



ヘラりと笑った金髪の男……。



「だ、だって……、今から嫌なこと、されるんじゃないの?」


「うん?」


「大毅のかわりに復讐をって、思ってるんじゃないの?」


「俺? 俺は別に? ただまぁヤバい人に捕まったのは確かかも?」


「ヤバい人? 」


「んー、あ、ってかなんで気づいた?俺が弟じゃないって。結構似てなかった?」




似てた。

背格好といい、雰囲気といい。

だからこそ騙された。



「あいつは知らない……私のバイト先。あそこは半年前から働いてる。あいつが知るはずないの」



「ふうん、なるほど」と、どうでも良さそうに呟いた男。




「あ、あなた、なの?」


「うん?」


「ずっと……私の事見てたの」


「見てた?」


「あと、つけたり」


「あー……、それは俺であって俺じゃないかも?」





俺であって俺じゃない?

どういうこと?

複数人で、ストーカーしてたってこと?




っていうか、大毅は?


だれが大毅のスマホからメッセージを届けてたの?



「おねーさん、ちょっとほんと、いやだいぶヤバい状況にいるからさ? 気をつけた方がいいかも」


「……え?」


「もし彼氏がいるなら別れた方がいいよ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る