第9話

「花音、なんかあった?」


佳加と外食をしていた時、佳加が目を細めて呟いた。あんまり食欲がない私は、フォークでパスタをクルクルとしていて……



「…え?」


「ちょっと最近、おかしいよな」



佳加は食べる手を止めて、頬杖をついた。



「そうかな…」


「やけに周り気にしてるから」


「……」


「ちょっと痩せたし」


「…うん」


「なんかあった?」



なんて言えばいいだろう。

ストーカーされてるかもしれないって?

それが大毅や父親関係なら?

佳加には知られたくない。



「なんでもないよ、太ったからダイエットしてただけ」


「……周り、見てんのは?」


「それは、」


「だいたい見てれば分かるって。妹もそんな感じだったし。何そんなに怯えてんの」



佳加の妹が、どんな感じかは分からない。でも私と同じだったらしく。


何かに怯えている……。佳加から見れば、そう思うらしく。



「……わたしの、勘違いかもしれなくて」


「うん」


「……誰かにつけりたり、見られてる感じがするの」



心配かけたくないけど、嘘をつくわけにも行かず。だけど2人の名前は出したくない。




「何それ、ストーカー?」



眉を寄せた佳加は頬杖をやめて、少しだけ怖い顔をしながら前のめりになった。



「分からない……でも、姿とか見たことない。足音とか、視線っていうか……」


「いつから?」



いつから?

分からない。

気がつけば足音が聞こえていた……。



「……分からない」


「なんで今まで言ってこなかった? 警察には?」


「ごめんなさい……。警察に行ったけど、何かあったら電話してって」


「なんだそれ使えねぇな」




イライラというか、珍しく不機嫌になった佳加は、「今んとこその2つだけ?」と私の顔を見た。



「……うん」


「こいつかもって奴、いねぇの?」



いる、2人いる。

でも、この2人じゃない気がするの……。




「……分からない」


「とりあえず明日もう一回、警察に行こう。俺も行く。女1人だと舐めてる可能性もあるし」


「……よしか」


「それでも動かねぇなら、ちょっと考える」


「……考えるって……」


「俺、実は頭良かったりするからな」




軽く笑った佳加だけど、すぐに目の色を変えて「家の中も見とくか……」と烏龍茶を飲んだ。

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