第3話

家ではずっと暴れていた大毅。

中学の頃、家を出て帰ってきたかと思えば、友達を連れて夜は騒ぎ放題。「お前のねーちゃん貸してよ」ってその友達に言われたこともあった。


騒ぎ放題の翌日は、私が掃除をするのが当たり前だった。お酒の空き缶、使用した避妊具……。玄関の外も、吸い終わった煙草のゴミが散らかっていた。



大毅のせいで、親は離婚……。

大毅を父親母親どっちが引き取るかと問題になった時、孫は目に入れても痛くないという祖父が引き取ることになったけど。




大毅は止まらなかった。

祖父が心配で何度も様子を見に行ったけど、大毅が住み始めてから祖父の痩せていく体を見て──このままだと祖父が死んでしまう。そう思った。


それでも私は学生で、まだ、大毅からの暴力が怖いという思いもあって。私は祖父を助けることができなかった。


大毅の暴力が、怖かった──……。



そんな祖父は私が高校三年生の時に死んだ。



祖父が残したマンションで大毅は1人で暮らした。そのマンションの中で、大毅は女の子を監禁した。本っ当に、どうしようもない弟……。血が繋がってると思いたくもない、実の弟……。




花音かのん、あいつと会ってきたのか?」



家に帰れば、スーツをきっちりと着ている父がいた。



「うん、もう出さなくていいんじゃない?あの中から」



ぶっきらぼうに言えば、父は、父の隣にいる秘書に顎を使い合図をした。秘書が鞄から取り出した封筒を私に差し出してくる。




中身を見なくても分かった。分厚い中身は──……




「なにこれ?」


「向こうの家族に渡してくれ」


「は? なんで私? こういうのは親の仕事でしょう?! 弁護士も入ってるって!」


「慰謝料は払っている、それは示談金。親より姉弟の方が向こうも被害届を取下げるだろう」



父の言葉に絶望する。

こんな親だから、大毅は──あんな性格になった。なんでも、お金で解決出来ると思って……。




「……父さんは、被害者の子に会った?」


「なに?」


「会ってもないくせにこんなの私に持たせないでよ!!」

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