第30話
シーツを握り締め唾液で染みていく枕に不快感を抱きながらも、律動が繰り返される度に快感が高揚していく。
上擦った声が部屋の雰囲気を艶かしく響き渡る。
「――アアッ……んっんっ」
「サツキに聞こえん、ぞッ」
そう言ってわざとらしくグッと突いてくるのは聞かせるためか、個人的に愉しんでいるからか。緩める事なく律動させる腰にだらしなく喘ぐ。
募る快感はあたしの思考を麻痺させた。
愛の欠片もない行為に唯一の救いはキスがないことだけ。必要最低限にしか脱がない衣服にそれこそ下半身さえ、穴さえあればいいだけの価値しかない。
それでも波に飲まれまいと抵抗して足をジタバタさせるあたしに、そろそろ仕上げだと言って腰に両腕を回す。
まるで動物のように。
盛りのついた犬みたいに。
自分の快楽を優先的にぶつけてくる動きに耐えられず、あたしは悲鳴に近い声を漏らした。
「ぅ…アアッ――ッ」
「あー出る、イク……ッ」
その瞬間に僅かに引いた腰をいとも簡単に引き寄せ、あたしの中にぶちまけた。
吐き捨てられた欲の塊は白濁となって溢れ出る。
汚い。汚い。汚い。
気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。
何度繰り返し思ったところでべったり纏いつく余韻はバカみたいに気持ちが良かった。
カモに抱かれるよりも――
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