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第2話


ゆらゆらと身体が揺れる度に声を弾ませ、アンアンとバカでも分かりやすく乱れて喘ぐ。右側に視線を向ければ、ガラス張りの浴室が曇って濡れている。


左側には小さな画面の中で、裸の男女が絡み合っていてあたしと同じ事をしている。


そして天井を見上げれば鏡の中の自分と目が合う。


――すごく萎える。


「ッあ、スゴイッ、んっあッ」


気持ちは沈んでいくのに、声だけは一丁前に甲高く喘ぎ弾ませる。何が凄いのか分からないけど「スゴい」って言うだけでオッサンは興奮するらしい。


今日はイマイチ気分が乗らなくて、オッサン越しに見えるデジタル時計に時間配分をしちゃうくらいの余裕はある。絶頂にタイミングを合わせてやれば後は大満足だろう。


「ッは、キミ、本当に女子高生?」


隣に寝転ぶオッサンが息も絶え絶え問いかける。


「あーやだイッちゃうぅ」なんて、耳元で喘げば呆気なく終わるからオッサンは楽でいい。


「うん」


「そう?なら今度制服でシようよ」


「それはダメ」


「どうして?」


「どうしてって、学校バレちゃうし。ホテルに入れない」


「じゃあ持ってきて部屋で着替えて」


「だから、バレたらダメでしょ?」


言っても理解しないオッサンに溜息を吐く。こういう時のクソ怠い駄々っ子オヤジはマジで無理。

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