第11話

「よお、可哀想ななっちゃん。彼氏はどうしたの?」


―――昼休みの、図書室。



また意地悪なことを言ってくるルイの弟の、ヒカル。


本を選んでいる私の横でニコニコと笑ってくるヒカルは確信犯。


ルイと私が一緒にいるはずないのに。




「今日は女の子はどうしたの?」


ぼそっと、小さな声で呟いた。




「なーにその言い方、俺遊んでるみたいじゃん」



遊んでるでしょ、いつも。

呆れて言葉も出ない。



「あの、私一応歳上なのよね」



私はひとつ年下の学年のヒカルに嫌味ったらしく言った。



「知ってるよ?」


「敬語とか⋯」


「なっちゃんって意外と体育会系?」


「⋯もういい」



クスクスと笑うヒカルは、「怒らないでよ」と、人形のような綺麗な目で見つめてくる。

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