努力では越えられない壁がある?だったら根性も追加しましょう
鋼音 鉄@高校生
序章
第1話 英雄譚、始動である
世界は巡る。
座標が動く。力が動く。常識が動く。均衡が動く。
輪廻は巡る。
死した魂は冥界へと届き、浄化を果たした魂は天界へと行き、条件を満たした魂は種として行く。世界を花で満たす種として。
物語という嘘を構築する上で必須な世界と輪廻は巡る。
そして、もう一つ。その存在を構築する為に必要なソレは、そこにある。
回る二つとは違い、一つは人間たちに寄り添った。
その果てに、価値をひとつ見出した。理由を一つ見出したのだ。
それは人間。それは少年。
運命として、因果として。皆にとっての嫌われ者であり、思いを蹂躙する悪であった。
その悪を魔導は魅入り、魔道は誘い込む。
そう、これは物語。本来の道から歪曲され、曲解された物語。
憧れる事など無かったはずの、最強を目指す物語である。
***
生まれた屋敷から出て、近場の森で鍛錬するのは誰か。
俺氏である。
初めて来た時から魔法の鍛錬をしているが、中々鍛錬の成果はない。
それはきっと、親とか、家庭教師に散々言われた事が原因だ。俺の魔力が魔法の質に合ってない、その事が。
でも、できる時はできるんだ。
魔力と魔法が合致していなくても、一心に努力して、諦めずに向かい合う。
それができさえすれば、力と技術の擦り合わせが可能だ。
「よし…これで…!」
『[土魔法]を獲得しました』
「よっしゃぁっ!これで俺にも魔法が扱えるように!」
『称号[初心者よりも下手]、称号[基礎すらも通らないアホ]を獲得しました』
「は?」
はぁぁぁ……俺もしかして喧嘩売られてる?
この先聞く事が無いかもしれない[力の根源]を聞けて喜んでるのに気分下げてるの?
てかー、俺が下手だったり基礎通ってないのは仕方ないと思うんですがねぇ。
親父や家庭教師達が魔法の基礎すら教えてくれなかった訳ですし。
だから魔力操作がド下手なのは至極当然な訳ですよ。
まあ……至極当然の事でも真っ直ぐ言われたらムカつく訳ですが。
上等じゃ、その喧嘩買ってやろうじゃねえかヨォ!
ふふふふ、先程に入手をした[土魔法]を使用して挽回してやる。
魔力と[土魔法]を脳内でこねくり合わせて…発動できるようになったら完了。
はっはっは!全力全開土魔法!この森を土で覆い尽くすのだ!
地面から掴める程度の土が出現してきて……どうなるんだ!
いやいや、俺は知ってるぜ。ここからこの土が増量大喝采して森を埋めるんだ。
さあ、俺の大いなる魔法譚、始動である!
……そのまま落ちましたね。
いや、まだだ!落ちた一粒の土が波紋を起こし、大災害がきっと…。
全く起きねェなコレ!?
じゃあ俺の魔法の効果は少しの土を持ち上げただけか?クソッタレがヨォ!
絶対だ。絶対に[土魔法]をこれよりも進化させてやる。
魔法を使えるよう、進んできた男のプライドが叫んでいる。このまま放っておいたら無駄になるって。
だから、進化をさせるんだ。
根源さんを唸らせるようなとっておきの魔法にして。
そうと決めたらやりましょう。魔法特訓合宿(一人)。
まずは[土魔法]を連発する作戦。魔法というのは熟練度の塊と言いますし、やってみましょうかね。
一回目。土を動かすが変化はない。
二回目。こちあらも同様と変化はない。
少し飛ばして十八回目。変化はないが、少しの思いつきが生まれた。
俺の魔力って魔法と合ってないんだから、何か仕掛けしないと上手く噛み合わないんじゃないか。
故に、俺は工夫をする。
十九回目。自分の事を何で気づかなかったんだアホ野郎と罵りたい気分である。
何年俺の魔力と向き合ったと思ってるんだ。
魔法を得られた喜びでソレを忘れているようじゃ、強く立派な魔法使いにはなれはしない。
二十回目。発動すればする程コツを掴めるような感覚になる。
だが、それに応じて魔力の消費も段々と大きくなっている。
このままなら魔力の消費が大き過ぎて俺が倒れてしまう。
しかし、魔力消費を落とせば、魔力の出力も総じて下がる。
くそ、ここまで魔力の性質が引っ張ってくるとは思わなかった。
三十一回目。これって俺の魔力操作が下手だけな気がする。魔法の真理というか、頂きにチョビチョビと歩んでるけど、魔力は追いついてない。
つまりだ、これ俺が魔力操作あんま意識してないからだ。
『称号[遅えよタコ]を獲得しました』
あんだとゴラァ!!
…ごほん。三十二回目。意識をしてきてからちょっとは楽になったかもしれない。
…あったとしても誤差だけど。
いやー、悲しいなー。
四十二回目。ホーンのちょっぴり楽になってきた。
進展見えたのは良いんだけどさ。ちっと進みが遅いかなって.
ワガママじゃないんだけどね。本当にね。
五十六回目。あーくそくそ。少し文句言ったら進展少しもなくなった。
六十八回目。進展がようやく戻りましたよ。今自分が立っている土の性質を見れる魔法。
いや、便利だけどさ、なんか違うじゃん。
六十九回目。使用しても詳細が土しか出てこないんだけど。くそじゃん。
九十一回目。ようやく来た、俺の時代がなぁ!
ゲヘヘヘヘ、土の形や性質を変化する魔法。
九十二回目。これ、なんかちゃう…。
いや、予想はしてた。人生そんな上手くいく事なんてないもんね。知ってたよ!
でも、それはそれとして帰ります。萎えました!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます