第77話

シャツのボタンが胸下くらいのところまで外れた頃、



「それ以上はいいって!」



イラついたようなお母さんのその声に、私はボタンを外していた両手をシャツから離した。


さっきまでは高い声で男子校生に対応していたのに、切り替えが潔いね。


羨ましいくらいだよ。


お母さんのその変わり様に、この男は萎えたりしないのかな?


それをお母さんも少しは頭のどこかで懸念しているのか、その右手はずっと上下に激しく動かされ続けていた。



「はぁ、はぁ、はぁ…」



荒い息遣いが気持ち悪い。



「あんた生理いつきた?」



「…二週間前」



嘘をついた。


本当は数日前に終わったところだ。


でもだからといって行為自体がなくなるわけじゃないから。


こんな嘘、何の役にも立たない。



「あ、そう」


お母さんはそう言うと、男子校生のソレからやっと右手を離して部屋の隅にあった引き出しの一番下の段のところから箱のようなものを取り出した。


「これ使ってね」


お母さんはすぐにそれを男子校生に差し出した。


それがコンドームだということはすぐに分かった。

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