第94話
気持ちに加えて時間にも余裕があった私は、学校が終わるとそのまま近くのホームセンターに向かった。
私があのアパートに越してきてから今日で四日目。
その間私はご飯は食べたり食べなかったりで、食べてもそれはコンビニやスーパーの惣菜を買ってきて食べていた。
叔父さんから貰える生活費はきっと期待できるような額じゃないだろうから、こんな贅沢な生活をダラダラ続けるわけにはいかない。
どうせ買うならお金に余裕がある今のうちに買っておかなきゃ……
お目当てのものをしっかり購入できた私は、すぐに駅に向かい電車に乗った。
まだ十六時二十分…
寄り道をしたとはいえ、思ったよりも早くあっちの駅に着きそうだ。
今日はしっかり本人から聞き出したから、彼の帰宅時間は十八時で間違いないはず。
それでもやっぱり無意識に急いじゃうものなんだな…
今朝会ったばかりなのに、もう会いたくて仕方ないや。
まだそこに彼はいるはずもないのに、私は心の中で早く向こうの駅に着かないかなとそればかりを考えていて全く落ち着かなかった。
駅に着くと、私はすぐに彼のいつも座るあのベンチに腰掛けて彼の帰りを待った。
ソワソワして落ち着きがないのが自分でもよく分かった。
恋人を待つ人ってきっとこんな気持ちなのだろう。
彼は私の恋人ではないし全ては想像でしかないものばかりなのだけれど、私の今抱く会いたい気持ちはそれに限りなく近いように思えた。
だからなのかはよく分からないけれど、もう私には“偶然”を装うべきであるということがすっかり頭から抜け落ちていた。
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