第27話
砂浜に降り立つと、私はすぐにサンダルを脱いでそれを手で持ちながら歩いた。
「裸足熱くね?」
「平気!」
「もうちょい行ってから脱げよ。たまに危なそうなもん落ちてるし」
「ちゃんと見ながら歩いてるから大丈夫!」
まだ少し不服そうなユウマくんに対し、そんなユウマくんを見ながら私は隣でクスクス笑っていた。
“ユウマは昔っから正義感が強くていつも自分より人のことばっかり考えてる”
おばあちゃんのあの分析は的確だ。
まだ会うのなんてこれで二回目だというのに、私もそれに完全に同意できる。
おまけに“シロウ、シロウ、”って弟大好きみたいだし、ユウマくんは根っからのザ・お兄ちゃんって感じだ。
「おー、ユウマー」
「ハルナもいるじゃん」
「木戸くんも来てたんだ」
「おう」
「え?誰々?」
そんな声をかけられながら合流したそこには、前回もいたモンちゃんやオグちゃん、木戸くんもいた。
それ以外には知らない人が一人いるだけだったけれど、その人も雰囲気からして三年生のようだった。
それからその集団の端には砂浜に座り込んであぐらをかく、すでにびしょ濡れのシロちゃんもいた。
徐ろに目が合ってすぐに笑いかけようとした私だけれど、それより先にシロちゃんはパッと私から目を逸らしてしまった。
…ドライな奴だ。
だけど、私はそれに不快感を感じることはなかった。
それはきっと私にはお兄ちゃんであるユウマくんとそれなりに仲良くなったという自負があったことが大きく関係しているのだと思う。
それに加えて、おばあちゃんがシロちゃんのことをよく知っていたこと。
“繊細で傷つきやすいくせに一人で溜め込んですぐに人との間に壁を作る癖がある”
それって要するに“不器用だけどいい子”ってことだよね?
この前だって危なくないところへ私を誘導してくれたのはシロちゃんだったし。
そういえばあの時の、シロちゃんの私の手首を掴む手はすごく優しかったな…
初対面だった人に軽く自己紹介を済ませた私は、盛り上がるみんなからスッと抜けてシロちゃんの元へ向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます