第31話
2週間あると思ってたのに、気がつけば1週間経っていた。時の流れの速さを痛感する。
つまり残り1週間しか無いわけで、そうなると楽観視もしてられない。未だ何一つ進んでない現状に、自分が悪いのを分かってても焦りから苛立ちが来る。
それは2人も同じことだった。初めは「この曲のここ、こう変えるのはどう?」なんて話してたのに、だんだん2人は「バラードのテーマ決まった?」とか「作詞できた?」とか聞いて来ることが多くなる。
それが余計、私を焦らせた。
早く書かなきゃ。作らなきゃ。じゃないと間に合わない。そうやって焦れば焦るほど、何も思い浮かばなくなっていく。しまいにはバラードがなんなのかゲシュタルト崩壊までおきだして、何度白紙の紙を破いたことか。
先に曲を、と思ってアコギを手に取っても作曲用に使ってるピアノの前に座っても、伝える言葉が無いんだからそれにつける色が浮かぶわけなくて。私にとって歌詞は絵の輪郭で、音はそれを塗る絵の具。でも実際の絵と違って、曲は形の無い絵に色を塗れない。
曲を作ってから歌詞を考える人もいるけれど、私にはそれができなかった。
つまり、完全に詰んでいた。
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