第19話

奥村晴都が日本に帰ってきてから厄日続きだったけど、そんな私にもとうとう良いことがやってきた。



この前のライブを見たインディーズのレコード会社から、CD出さないかってお声がけされたっていうね。そう、スカウト。



インディーズと言っても、あのMeMento:Moriを看板バンドに置いてる会社、『アズアトレイズ』だから正直信じられない。まだレーベルとの契約まではしてないけど。



雪月花がただの高校生バンドじゃなくなる。今までより色んな人に聴いてもらえるようになって、当然その分批判もされるようになる。



私を「親の七光り」や「2世だ」って言ってくる人もいるだろう。そこにつきまやはなびを巻き込むのは申し訳ないけど、あの2人は「うちらの音楽で黙らせればいいよ」って言ってくれた。



両親は意外にも私達のスカウトを喜んでくれて、頑張れって背中を押してくれた。なんかちょっと照れくさい。そして少し申し訳なかった。



2人が望んだ音楽の道に進めなくてごめん。でも、これが私のやりたい道だから。

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