第10話

「それにしても、ぴあのさんがピアノをやめてるなんて知りませんでした。」


「そうなのよ。この子ったら、今じゃバンドばっかりで。昔はあんなに熱心だったのに。」




そんなの、挫折する前の話だし。




「今はバンドの方が楽しいの。全部自分でやってるんだからいいでしょ。」


「ずっとこればっかりなのよ。」




いつにも増して非難してくる母さん。今日はヤな日だな。これでも、学校の中での雪月花の知名度はだいぶ高いし、高校生バンドでライブする時はいつも声かけられてるんだからね。



言ったって聞いてくれやしないけど。それもこれも全部、奥村晴都のせいだ。そういうことにしておこう。




母さんと奥村晴都が話すのを聞き流しながら、私はご飯を胃に流し込んだ。コイツの顔見ながらご飯食べなきゃならないなんて、とんだ厄日だ。

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