第89話
「お嬢様は出来損ないなんかではないですよ。」
そう否定してくれる加島さんを私は見ると悲しそうな顔をしていた。
「私は、幸せよ。大丈夫。幸せだから。」
自分に言い聞かせるように言った。
「そうですか・・・では、おめでとうございます。と言わせていただきます。」
きれいにお辞儀をする加島さんをみて
「ありがとう。」と笑った。
後ろで眉を顰める榊を見て
「榊はおめでとうって言ってくれないの?」と聞くと
「いや・・・・お嬢様の相手になる人は、大変だと思って。」
「なんでよ」
「お嬢様は、寝相が悪いし、寝言もひどいし、その上胸もなく・・・お相手が・・・可哀想です」
「うるさーい!!!!!怒るわよ!!!!!」
「・・・だから」
「え?」
「だから、本当に幸せそうな顔をするまで俺はおめでとう。なんていいません。絶対に。」
榊はそう言うと部屋から出て行ってしまった。
「あー・・・もう、馬鹿・・・」
そんなことを言ってくるなって・・・
「ほんと・・・馬鹿ね・・・」
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