第69話

少女はスーツを着る男性のもとへ駆け出した。




「待って」



私は、腕をつかんだ。彼女は不思議そうな顔をした。



聞きたいことはたくさんあったけど「これ、持ってって。」そう言って花を差し出した。




少女は笑って「ありがとう。」というと




花を受け取り男性のもとへ今度こそ駆けていった。




そして二人は手を取り合って、崖の下へと落ちていった。




私は驚いて崖の下を覗き込んだけれど誰もいなくて、でも花瓶の中には花がないことから、さっきの出来事は嘘でなかったことが分かった。




座りこんで崖の下を見ていると




「沙妃!!あっ、こんなことにいた!みんな心配してるよ。遅すぎ。」




とっくにみんな肝試しは終わっていたらしく私が最後になっていたみたいだった。




「迷っちゃって・・えへへ。」



「一本道で迷うなんてぼんやりしすぎだよ。崖の近くで危ないから帰るよ。」




「うん。」




私は流歌の手を取り、ホテルへ戻った。

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