第17話

「おやつ?」




「メイド長に会ったときにもらった。あの人俺に甘いんだよ。はあ、お嬢様が貧相なせいで俺のおやつがなくなってしまった。」



がっかりしたような顔で私の顔を見た。




「ヒヒっ、ありがとう。」




「うわっ、気持ち悪い笑い方。」




「は?かわいいの間違えでしょ!クビにするよ!」




「お嬢様にそんな権利はありませんから。では、俺は仕事が残ってるので、失礼します。」




「うん、じゃあね。」




そういうと、いつものように、気だるげな顔をしながら部屋から出ていった。





マドレーヌを見ながら笑みがこぼれた。




榊は甘いものが苦手だ。



いつもならメイド長からマドレーヌを受け取るなんてしない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る